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令和7年度における水田活用の促進について

2024年09月09日

 令和6年9月4日 滋賀県農業再生協議会の臨時総会において、「令和7年度における水田活用の促進について」が決定されました。


令和7年度における水田活用の促進について

令和6年9月
滋賀県農業再生協議会

 平成30年産からの「新たな米政策」のもと、本県においては、令和7年度も引き続 き、主食用米をはじめ麦・大豆、非主食用米、高収益作物等について、需要の確保とともに契約に基づく生産と安定供給を推進することとします。
 さらに、農地の生産力を最大限引き出すとともに、燃油や資材等の高騰下においても農業者の所得の最大化に向け、マーケットインや適地適作の視点に立ち、主食用米だけでなく、麦・大豆、非主食用米、高収益作物等について、経営のリスク分散や農業者の所得向上が実現できる作付割合や栽培品目・導入技術等を市町農業再生協議会および関係機関・団体が提案し、農業者自らが考え実践する生産体制づくりを進めます。

1.主食用米の安定生産
 全国の主食用米の需要実績は年間約10万トンペースで減少してきましたが、コロナ禍からの回復やインバウンドが増加したこと、1等米比率が低下し精米歩留まりが低下したことなどから、R5/6年は11万トンの需要増となりました。このように、主食用米の需要動向が変化する状況にあるものの、米価等の一時的な変動に惑わされず、水田農業を基幹とする本県農業の持続的な発展に向け、関係機関・団体が事前契約(播種前契約、複数年契約等)とその履行を着実に進め、実需者等が求める主食用米の数量をしっかりと生産供給することにより、産地として信頼される需給関係の構築に努めます。
 また、マーケットインの視点に立った米づくりの指針となる「近江米生産・流通ビジョン(近江米振興協会:令和5年3月改訂)」等に基づき、近江米の需要を満たせず、作り足りていない現状等、米をめぐる状況を的確に捉え、必要とされる数量を確実に生産・供給することで、全国に占める近江米の需要量シェアの維持・向上および農業者の所得の確保に向けて以下の取組を進めることとします。

(1)関係者へのアプローチ
 ①農業者に対しては、「実需者等が求めている米」をしっかりと生産し供給するため、作付誘導を図りつつ、事前契約に基づいた生産を基本にするとともに、集荷業者等との出荷契約があるものを優先し、確実に履行(出荷)されるよう推進します。
 ②集荷業者に対しては、卸売業者や実需者等が求める品種や用途等の情報を把握するとともに、地域農業再生協議会が示す「生産の目安」と整合性を図ったうえで、農業者に対する情報提供や作付提案を行い、事前契約による実需者との結び付きの強化が図られるよう推進します。

(2)用途に応じた作付推進
 ①家庭用の「コシヒカリ」「みずかがみ」については、消費者への訴求力を高め、需要の拡大が図れるよう、食味ランキングにおける「特A」取得をはじめ、「環境こだわり米」の比率を高めるとともに、新品種「きらみずき」や「オーガニック近江米」等の特色ある米づくり、GAP等の取組による安全・安心な米づくりを進めます。
 ②業務用については、物価高に伴う節約志向から引き合いが強くなる等の需要動向を注視しながら、実需者の意向を踏まえ、農業者の所得の最大化が図れるよう、低コストによる多収栽培等により、需要に対応する生産(数量確保)に取り組みます。
 ③本県においては、作付品種の多様化が進んでおりロットのまとまらない状況となっているため、主要品種以外の作付けについては、実需者から要望のある品種への集約を図ります。

2.需要に応じた麦・大豆等の生産性の向上
(1)麦類
 播種時期を目前に控えた麦については、小麦「びわほなみ」、小粒大麦「ファイバースノウ」等実需者の評価に沿った新品種の導入を進めてきたところであり、令和6年7月に開催された「令和6年度滋賀県麦民間流通地方連絡協議会」により販売予定数量および購入希望数量の合意が図られたことから、その結果を踏まえ、播種前契約数量に基づく面積(別紙)の確実な作付けと、実需者から提示された購入希望数量が産地の販売予定数量を下回っている(ミスマッチとなっている)品種はその解消に向けた取組を行い、需要に応じた生産を進めます。
 世界的な情勢変化により国産小麦の需要が高まっていますが、本県産小麦の一部については、実需者等のニーズや用途に応じた品質基準が満たせておらず、実需者から品質改善が求められているため、更なる需要の拡大につながっていないと思料されます。
 このため、作付けにあたっては、生産性の向上と品質改善が図られるよう、集落による農地利用調整を基にブロックローテーションでの栽培ほ場の団地化はもちろんのこと、排水対策や基本技術(土づくり、適期播種、適期防除、雑草対策等)、品種に応じた栽培管理を徹底するよう推進します。

(2)大豆
 本県での品種別作付面積は、「フクユタカ」が34%、「ことゆたかA1号」が33%、その他33%(黒大豆含む)という状況で、麦の作付面積拡大に伴い、大豆作付面積も拡大傾向となっています。
 大豆は、播種時期の気象条件により生産が不安定になりやすいことから、麦あとをはじめ単作であっても団地化を図るとともに、大雨等にも対応できるよう排水対策の徹底や的確な作業判断、基本技術(適期播種、適期防除等)の励行を推進します。
 また、近年、地力低下により収穫量が不安定になっていることから、県が作成した「水田地力マップ」や簡易分析を活用する等により、地力の向上に向け、堆肥の施用や緑肥の鋤き込み等による土づくりを推進します。

(3)その他
 麦あと水田については、大豆の他、ソバや野菜等の作付けによる高度利用を進め、水田の有効活用による所得向上が図られるよう推進します。

3.野菜等の高収益作物の作付推進
 都市近郊で消費地に近い立地条件や担い手による水田農業経営の展開等、本県の特徴を活かしつつ、需要の変化を注視しながら、実需者との結び付きの中で、野菜や果樹、花き等高収益が期待できる園芸作物の生産拡大を進めます。
 特に、加工業務用タマネギ、キャベツ等については、低コスト省力化や生産性向上を図るため、JAを核とした機械・施設の導入や複数産地の広域化による生産拡大を進めます。
 また、水田の有効活用による農業所得の向上を図るとともに、県民のニーズに対応するため直売所等に出荷可能な品目について作付推進を図ります。

4.耕畜連携による飼料作物の増産
 国際情勢の変化による飼料価格の高騰や輸入量が不安定となる中、本県での水田フル活用や畜産経営の安定化を図るため、水田を活用した飼料作物の生産拡大を進めます。
 また、耕畜連携を基本に、耕種農家によるWCS用稲をはじめとする粗飼料等の作付拡大を進めるとともに、本県での子実用トウモロコシの生産性や今後の需要動向等、調査研究を進めます。

5.非主食用米の取組推進と不作付地の解消等
 非主食用米については、水田の有効利用を図るための重要な品目と位置づけ、調整水田や保全管理等の不作付地、麦・大豆等の栽培が適さない地域において、加工用米や飼料用米等の需要量や特性を踏まえた作付けを推進し、不作付地の解消や発生防止に努めるものとします。
 作付品種にあたっては、「需要に応じた米の生産・販売の推進に関する要領」に基づく多収品種や地域特認の「吟おうみ」を低コストで生産する等の取組を進めます。
 なお、麦が播種前契約に基づき播種されることから、残る水田において生産目標(生産の目安)に基づく主食用米と非主食用米の作付面積を需要に応じて調整します。

6.地域の話し合いに基づく水田活用の再構築
 本県の水田農業は、主食用米を基幹とし、ブロックローテーションによる麦・大豆の集団栽培や、「世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策」等の集落共同活動の取組により発展してきましたが、担い手への農地集積に伴う農家数の減少や、コロナ禍を契機に話し合う場面が逸失した状態が続いている等、集落の合意形成機能が徐々に崩れつつあります。
 今後、主に人口減少に起因する主食用米の需要が減り続け、また、国による畑地化の推進や5年水張りルール等水田活用の直接支払交付金の交付対象水田が見直されます。担い手農家をはじめ多様な農業者が経営を維持・発展させるためには、それぞれの経営方針を踏まえた上で、集落における水田活用(水稲と畑作物の団地化や作付割合、水系・土質等に応じた実効性のある土地利用等)について関係者を交え話し合うことが重要です。そのため、集落を中心とした水田活用が今後の地域農業を見据え、柔軟かつスピード感のある需要に応じたものとなるよう市町農業再生協議会および関係機関・団体が一体となり、話し合いの実践に向けた誘導や集落合意形成に向けたアドバイスに努めます。

7.令和7年産米の生産目標(生産の目安)等
 平成28年12月に決定した「平成30年産米以降における米の生産調整の取組方針」や市町農業再生協議会との意見交換を踏まえ、当協議会から各市町農業再生協議会別の生産目標(生産の目安)を提示することとします。
 なお、民間在庫量や米価の変動など、主食用米の需要動向が大きく変化する状況にあるため、事前契約に基づく安定生産を着実に進めるとともに、農業者(産地)の主体的な取組による需要に応じた生産をより一層推進する観点から、生産目標(生産の目安)は以下のとおりとします

(1)提示の数値※1は、「生産目標(生産の目安)(㎏)」※2とします。
 なお、通知は、国の「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」(以下「基本指 針」という。)が変更される11月頃を予定しています。
※1:生産目標(生産の目安)と併せ、農林水産統計に基づく直近7ヵ年の市町別10a当たり収量の中庸5ヶ年の平均値(基準単収)を作柄地帯別の統計補正係数により補正した「補正基準単収」および補正基準単収を用いて算出した「面積換算値」を参考資料として提示します。
※2:「生産目標(生産の目安)」および「補正基準単収」は、ふるい目幅1.70㎜以上で算定した数量とします。

【令和7年産米の滋賀県の生産目標(生産の目安)の算定方法】
 国が11月に提示する「基本指針」や県内集荷業者等での需給状況、滋賀県産米の民間在庫量、需要実績等を勘案して、算出することを基本とします。

【令和7年産米の市町農業再生協議会別生産目標(生産の目安)の算定方法】
 市町農業再生協議会別の生産目標(生産の目安)は、令和7年産米の本県の「生産目標(生産の目安)」に、市町毎に算出した直近5ヶ年の「市町別水稲収穫量」の中庸3ヶ年の平均値のシェア率を乗じて算出します。
※「市町別水稲収穫量」は、農林水産関係市町村別統計に基づく市町別の10a当たり収量に、地方農政局長等が公表した「水田における作付状況」等の市町別主食用米作付面積(属人)を乗じ、年度ごとに算出したもの。

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