令和7年病害虫発生予報第3号
令和7年5月13日 滋賀県病害虫防除所は、病害虫発生予報第3号を発表しました。
【予報概要】
大阪管区気象台発表では、向こう1か月の気温は高く、降水量は平年並または多く、日照時間は平年並または少ない見込み。
作物名 | 病害虫名 | 時期 | 発生量 | 作物名 | 病害虫名 | 時期 | 発生量 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
イネ | 葉いもち | 平年並 | 平年並 | 果樹全般 | カメムシ類 | やや遅 | やや少 |
ニカメイガ(Ⅰ) | 平年並 | 平年並 | ナシ | ナシヒメシンクイ | 平年並 | やや少 | |
イネドロオイムシ | 平年並 | やや多 | アブラムシ類 | - | 平年並 | ||
イネミズゾウムシ | 平年並 | 平年並 | ブドウ | 灰色かび病 | やや遅 | 平年並 | |
野菜全般 | アブラムシ類 | - | 平年並 | カキ | カキクダアザミウマ | やや遅 | 平年並 |
ハダニ類 | - | 平年並 | カキノヘタムシガ | やや遅 | 平年並 | ||
アザミウマ類 | - | 平年並 | チャ | カンザワハダニ | - | 平年並 | |
ヨトウガ | 平年並 | やや少 | クワシロカイガラムシ(Ⅰ) | やや早 | 平年並 | ||
ナス科野菜 | 疫病 | 平年並 | 平年並 | チャトゲコナジラミ(Ⅰ) | やや早 | やや少 | |
ニジュウヤホシテントウ類 | 平年並 | 平年並 | |||||
アブラナ科野菜 | モンシロチョウ | 平年並 | 平年並 | ||||
コナガ | 平年並 | やや多 |
A.イネの病害虫
1.葉いもち
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)余剰苗での発生を認めていない。
(2)育苗箱施薬による防除が普及している。
(3)気温は高く、降水量は平年並または多く、日照時間は平年並または少ない見込み。
防除上注意すべき事項
(1)不必要な余剰苗は直ちに除去する。
(2)移植栽培では、いもち病に有効な長期持続型の薬剤を育苗箱に施用、または移植時に側条施用したほ場では、葉いもち防除の必要性は低い。
(3)直は栽培では、いもち病に有効な長期持続型の薬剤を、は種同時施薬機を用いて土中施用したほ場では、葉いもち防除の必要性は低い。
(4)発生を認めたら直ちに薬剤を散布する。特に、多肥田、「コシヒカリ」・「キヌヒカリ」・「秋の詩」・「滋賀羽二重糯」では注意する。ただし、耐性菌を生じやすいので、穂いもちの防除も考慮して同一グループ薬剤の連用を避ける。
2.ニカメイガ(第1世代)
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)フェロモントラップでの誘殺時期は平年並。
(2)フェロモントラップでの誘殺数はやや少ない。
(3)越冬世代成虫の発ガ最盛期は5月24日ごろと予想され、平年並(気象データ:彦根アメダス)。
(4)育苗箱施薬による防除が普及している。
(5)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)移植栽培では、ニカメイガに有効な薬剤を育苗箱施用した場合や、側条施肥田植機で施用した場合、防除の必要性は低い。
(2)直は栽培では、ニカメイガに有効な薬剤を、は種同時施薬機を用いて土中施用した場合、防除の必要性は低い。
(3)第1世代幼虫の防除適期は、越冬世代成虫の発ガ最盛期(彦根アメダスの気象データによる本年予想は5月24日ごろ)の10~15日後である。
3.イネドロオイムシ(イネクビホソハムシ)
予報内容 発生時期:平年並
発生量:やや多
予報の根拠
(1)ほ場での発生を認めていない。
(2)前年の発生量は平年並。
(3)育苗箱施薬による防除が普及している。
(4)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多く、日照時間は平年並または少ない見込み。
防除上注意すべき事項
(1)移植栽培では、イネドロオイムシに有効な薬剤を育苗箱施用した場合や、移植時に側条施用した場合、防除の必要性は低い。
(2)直は栽培では、は種同時施薬機を用いてイネドロオイムシに有効な薬剤を土中施用した場合、防除の必要性は低い。
(3)薬剤による防除の目安は、幼虫加害初期(6月中旬~下旬)に被害葉率20%以上、または被害株率50%以上とし、防除は幼虫加害初期に実施する。
4.イネミズゾウムシ
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)本田への飛び込み時期は平年並。
(2)前年の発生量はやや少なかった。
(3)育苗箱施薬による防除が普及している。
(4)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)根腐れを生じやすい水田では幼虫による被害が出やすいので、深水を避け、適正な水管理を行い、根を健全に保つ。
(2)移植栽培では、イネミズゾウムシに有効な薬剤を育苗箱施用した場合や、移植時に側条施用した場合は、防除の必要性は低い。
(3)直は栽培で、イネミズゾウムシに有効な薬剤を、は種同時施薬機を用いて土中施用した場合などは、防除の必要性は低い。
(4)5月中下旬に移植したほ場では、成虫の飛込最盛期に稲体が小さく、被害が大きくなりやすいので注意する。
(5)薬剤による防除の目安は、成虫の本田飛込最盛期(5月下旬)に株当たり成虫数が0.5頭以上または被害株率90%以上とし、多発しているところを中心に薬剤を散布する。
B.野菜(露地)の病害虫
1.野菜全般:アブラムシ類
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや少ない。
(2)黄色水盤での誘殺数は平年並。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)薬剤抵抗性を獲得しやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
2.野菜全般:ハダニ類
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生を認めていない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生初期から薬剤を散布する。
(2)薬剤抵抗性を獲得しやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
3.野菜全般:アザミウマ類
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや少ない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)定植時に粒剤を施用、または発生初期に薬剤を散布する。
(2)ほ場周辺の雑草を除去する。
4.野菜全般:ヨトウガ(ヨトウムシ)
予報内容 発生時期:平年並
発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生を認めていない。
(2)フェロモントラップでの誘殺を認めておらず、平年より少ない。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)幼虫の若齢期に薬剤を散布する。
5.ナス科野菜:疫病
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生を認めていない。
(2)前年の発生量は平年並。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多く、日照時間は平年並または少ない見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発病茎葉および果実は早期に除去する。
(2)排水をよくする。
(3)発病前から薬剤を散布する。特に降雨前後の散布に重点をおく。
6.ナス科野菜:ニジュウヤホシテントウ類
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生時期は平年並。
(2)ほ場での発生量は平年並。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生初期に薬剤を散布する。
7.アブラナ科野菜:モンシロチョウ(アオムシ)
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生時期は平年並。
(2)ほ場での発生量は平年並。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)幼虫の若齢期に薬剤を散布する。
8.アブラナ科野菜:コナガ
予報内容 発生時期:平年並
発生量:やや多
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや少ない。
(2)フェロモントラップでの誘殺数は多い。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)薬剤抵抗性を獲得しやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
C.果樹の病害虫
1.果樹全般:カメムシ類
予報内容 発生時期:やや遅
発生量:やや少
予報の根拠
(1)フェロモントラップでの誘殺時期はやや遅い。
(2)チャバネアオカメムシ越冬成虫数は平年並。
(3)フェロモントラップでの誘殺数はやや少ない、予察灯での誘殺数は平年並。
(4)気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)飛来を認めたら、早朝か夕方に薬剤を散布する。
2.ナシ:ナシヒメシンクイ
予報内容 発生時期:平年並
発生量:やや少
予報の根拠
(1)フェロモントラップでの誘殺時期は平年並、誘殺数はやや少ない。
(2)気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)ナシ園周辺のモモやウメ等に芯折れが発生している場合、被害新梢は処分するとともにモモやウメ等の定期的な薬剤散布に努める。
3.ナシ:アブラムシ類
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は、平年並。
(2)気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生初期に薬剤を散布する。
4.ブドウ:灰色かび病
予報内容 発生時期:やや遅
発生量:平年並
予報の根拠
(1)ブドウの生育はやや遅い。
(2)気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)果房に付着した花カスは伝染源となるので、花カス落としを徹底する。
(2)通風、採光を図る。
(3)開花直前または開花直後に薬剤を散布する。
(4)耐性菌を生じやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
5.カキ:カキクダアザミウマ
予報内容 発生時期:やや遅
発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)カキの生育はやや遅い。
(3)気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)被害葉(葉巻)を見つけたら薬剤を散布する。
6.カキ:カキノヘタムシガ
予報内容 発生時期:やや遅
発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生を認めていない。
(2)カキの生育はやや遅。
(3)気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1) 防除適期は「富有」の開花満開10日後にあたる6月上旬~中旬。
D.チャの病害虫
1.カンザワハダニ
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)多発園では、使用時期(収穫前日数)に注意して薬剤を散布する。
2.クワシロカイガラムシ(第1世代幼虫)
予報内容 発生時期:やや早
発生量:平年並
予報の根拠
(1)幼虫ふ化最盛期の有効積算温度(287日度、起算日1月1日、発育零点10.5℃)による予測日は平年並。
(2)越冬世代成虫の寄生株率は平年並。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)防除は、ふ化~定着直後の幼虫を対象とし、50%ふ化卵塊が過半数に達する時期(ふ化最盛期)の約1~3日後が防除適期となる。
(2)多発園では、中切りや深刈り更新と併用して防除を行うと効果的である。
(3)使用時期(収穫前日数)に注意し、薬剤を散布する。
3.チャトゲコナジラミ(第1世代幼虫)
予報内容 発生時期:やや早
発生量:やや少
予報の根拠
(1)越冬世代成虫の発生時期は平年並。
(2)越冬世代成虫の黄色粘着板での誘殺数はやや少ない。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)越冬世代成虫の発生ピークから15日程度経過し、成虫の発生がほとんど見られなくなった時期が若齢幼虫の発生期であり、薬剤による防除適期である。ただし、茶園により差があるので、若齢幼虫の寄生状況を事前に確認する。
(2)多発園では、中切りや深刈り更新を併用して防除を行うと効果的である。
(3)使用時期(収穫前日数)に注意し、すそ部や葉層内の葉裏に薬剤がよくかかるように
防除する。
防除対策(耕種的防除や薬剤防除など)については、滋賀県農作物病害虫雑草防除基準を参照してください。
病害虫防除に関する情報
滋賀県病害虫防除所 病害虫の発生予察などの関連情報
https://www.pref.shiga.lg.jp/boujyo/
滋賀県農作物病害虫雑草防除基準
滋賀県における病害虫や雑草の適切かつ安全な防除および危被害防止についての基準
https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/shigotosangyou/nougyou/ryutsuu/303181.html
お問い合わせ先:滋賀県病害虫防除所
〒521-1301 滋賀県近江八幡市安土町大中516
TEL:0748-46-6160・4926
FAX:0748-46-5559
Email:gc70@pref.shiga.lg.jp
https://www.pref.shiga.lg.jp/boujyo/
農薬取締法や滋賀県では、農薬を販売する者・使用する者が守らなければならない事項、守っていただきたい事項を次のように定めています。
このことを守り、農薬の適正な流通、安全・適正な使用に努めましょう。