令和6年病害虫発生予報第4号
令和6年6月4日 滋賀県病害虫防除所は、病害虫発生予報第4号を発表しました。
【予報概要】
大阪管区気象台の発表では、向こう1か月の気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多く、日照時間は平年並の見込み。
A.イネの病害虫
1.葉いもち
予報内容 発生時期:やや早
発生量:平年並
予報の根拠
(1)余剰苗での発生時期はやや早い。
(2)本田での発生を認めていない。
(3)育苗箱施薬による防除が普及している。
(4)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多く、日照時間は平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)不必要な余剰苗は直ちに除去する。
(2)移植栽培では、いもち病に有効な長期持続型の薬剤を育苗箱に施用、または移植時に側条施用したほ場では、葉いもち防除の必要性は低い。
(3)直は栽培では、いもち病に有効な長期持続型の薬剤を、は種同時施薬機を用いて土中施用したほ場では、葉いもち防除の必要性は低い。
(4)多肥田や晩植田、「コシヒカリ」「キヌヒカリ」「秋の詩」「滋賀羽二重糯」では特に注意する。
(5)ほ場をよく見回り、発生を認めたら薬剤を散布する。
(6)耐性菌を生じやすいので、穂いもちの防除も考慮して同一グループ薬剤の連用を避ける。
2.ニカメイガ第1世代
予報内容 発生時期:やや早
発生量:平年並
予報の根拠
(1)予察灯での誘殺時期はやや早い。
(2)予察灯での誘殺数は平年並。
(3)フェロモントラップでの誘殺数は平年並。
(4)育苗箱施薬による防除が普及している。
(5)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)移植栽培では、ニカメイガに有効な薬剤を、育苗箱施用した場合や、移植時に側条施用した場合は、防除の必要性は低い。
(2)直は栽培では、ニカメイガに有効な薬剤を、は種同時施薬機を用いて土中施用した場合は、防除の必要性は低い。
(3)第2世代幼虫の防除の目安は、6月中旬の第1世代幼虫の被害株率が10%以上のほ場で、防除は第1世代成虫の発ガ最盛期から7日後(平年7月第6半旬頃)までに実施する。
3.イネドロオイムシ(イネクビホソハムシ)
予報内容 発生時期:平年並
発生量:やや多
予報の根拠
(1)ほ場で成虫の発生を認めた。
(2)前年の発生量はやや多かった。
(3)育苗箱施薬による防除が普及している。
(4)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多く、日照時間は平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)移植栽培では、イネドロオイムシに有効な薬剤を、育苗箱施用した場合や、移植時に側条施用した場合は、防除の必要性は低い。
(2)直は栽培では、イネドロオイムシに有効な薬剤を、は種同時施薬機を用いて土中施用したほ場では、防除の必要性は低い。
(3)薬剤による防除の目安は、幼虫加害初期(6月中旬~下旬)に被害葉率20%以上、または被害株率50%以上とし、防除は幼虫加害初期に実施する。
4.コバネイナゴ
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)幼虫の発生時期は平年並。
(2)前年の発生量は平年並。
防除上注意すべき事項
(1)薬剤による防除を実施する場合は、若齢期(6月中旬)に畦畔から額縁状に薬剤を散布する。
B.野菜(露地)の病害虫
1.野菜全般:灰色かび病
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生を認めていない。
(2)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多く、日照時間は平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)耐性菌を生じやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
2.野菜全般:うどんこ病
予報内容 発生時期:平年並
発生量:やや少
予報の根拠
(1) ほ場での発生量はやや少ない。
(2) 気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多く、日照時間は平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)耐性菌を生じやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
3.キュウリ:べと病
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多く、日照時間は平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)排水をよくし、多湿を避ける。
(2)発病を認めたら早めに薬剤を散布する。
4.ナス科野菜:疫病
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生を認めていない。
(2)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多く、日照時間は平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発病茎葉および果実は早期に除去する。
(2)排水をよくし、多湿を避ける。
(3)発病前から薬剤を散布する。特に降雨前後の散布に重点をおく。
5.ナス科野菜:ニジュウヤホシテントウ類
予報内容 発生時期:やや早
発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生時期は早い。
(2)ほ場での発生量はやや少ない。
(3)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生初期に薬剤を散布する。
C.チャの病害虫
1.炭疽病
予報内容 発生量:やや多
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや多い。
(2)前年の発生量はやや少なかった。
(3)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)二番茶の開葉期に薬剤を散布する。二番茶の摘採前のため、使用時期(収穫前日数)に注意する。
2.もち病
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)前年の発生量は平年並。
(3)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)二番茶の開葉期に薬剤を散布する。二番茶の摘採前のため、使用時期(収穫前日数)に注意する。
3.チャノホソガ(第2世代幼虫)
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)第1世代成虫の予察灯での誘殺時期は平年並。
(2)第1世代成虫のフェロモントラップでの誘殺数は平年並。
(3)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)産卵を確認後、薬剤を散布する。二番茶の摘採前のため、使用時期(収穫前日数)に注意する。
4.カンザワハダニ
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生量が多い茶園は、薬剤を散布する。二番茶の摘採前のため、使用時期(収穫前日数)に注意する。
5.チャノミドリヒメヨコバイ
予報内容 発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや少ない。
(2)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)二番茶の萌芽期~開葉初期に薬剤を散布する。二番茶の摘採前のため、使用時期(収穫前日数)に注意する。
6.チャノキイロアザミウマ
予報内容 発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや少ない。
(2)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)二番茶の萌芽期~開葉初期に薬剤を散布する。二番茶の摘採前のため、使用時期(収穫前日数)に注意する。
7.クワシロカイガラムシ(年2回発生地域・第1世代幼虫)
予報内容 発生時期:早
発生量:平年並
予報の根拠
(1)甲賀市水口町水口(茶業指導所)におけるふ化最盛期(50%ふ化卵塊が過半数に達した時期)は早い。
(2)調査茶園における寄生株率は平年並。
(3)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)防除は、ふ化~定着直後の幼虫を対象とし、ふ化最盛期の2~3日後が防除適期となる。
(2)多発により樹勢が衰弱した茶園では、中切り・深刈りなどの更新を行った後に防除を行うと効果的である。
(3)二番茶の摘採前のため、使用時期(収穫前日数)に十分注意する。
8.チャトゲコナジラミ(第1世代幼虫)
予報内容 発生時期:平年並
発生量:やや少
予報の根拠
(1)越冬世代成虫の発生時期は平年並。
(2)越冬世代成虫の黄色粘着板での誘殺数はやや少ない。
(3)気象予報では気温は平年並、降水量は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)次世代の若齢幼虫期に防除を行う。薬剤による防除適期としては、成虫がほとんど見られなくなった時期である。ただし、茶園により発生時期に差があるので、若齢幼虫の寄生状況を事前に確認する。
(2)多発園では、中切りや深刈り更新と併用して防除を行うと効果的である。
(3)二番茶の摘採前のため、使用時期(収穫前日数)に注意し、すそ部や葉層内の葉裏に薬剤がよくかかるように防除する。
防除対策(耕種的防除や薬剤防除など)については、滋賀県農作物病害虫雑草防除基準を参照してく
ださい。
お問い合わせ先:滋賀県病害虫防除所
〒521-1301 滋賀県近江八幡市安土町大中516
TEL:0748-46-6160・4926
FAX:0748-46-5559
Email:gc70@pref.shiga.lg.jp
https://www.pref.shiga.lg.jp/boujyo/
農薬取締法や滋賀県では、農薬を販売する者・使用する者が守らなければならない事項、守っていただきたい事項を次のように定めています。
このことを守り、農薬の適正な流通、安全・適正な使用に努めましょう。
【 農薬を扱うみなさまへ.pdf 】