採種について
2018年06月19日
基本技術を励行して優良種子を生産しましょう!!
優良種子の生産に向けて!!
◇タネの基本条件は「純正」、「健全」、「良質」純正とは
①遺伝的に純正度が高い(品種固有の特性を備えている)。
②混種がない。
③異物や異種穀粒の混入が無い。
健全とは
①発芽率、発芽勢が髙く、発芽揃いがよい。
これらについて、将来種子として妥当か否かは、ほ場審査および生産物審査で判定されます。
良質とは
①粒の充実がよく、容積重が重い。
②粒形が斉一で色沢がよい。
③被害粒、未熟粒、異種穀粒および異物の混入がない。
商品としての種子の規格に適合しているか否かについては、農産物検査(種子検査)で判定されます。
大変ご苦労が多いとは思いますが、ちょっとした不注意や思い違い、他の作業をされる方への伝達不足などで、優良種子の条件を損ねることになりますので、作業の都度、チェックを確実に行いながら、合格種子を目指して取り組んでいただきますようよろしくおねがいします。
また、農作業中の事故が、毎年発生しています。事故に遭わないよう、起こさないよう、日頃から、安全な農作業を心掛けるようにお願いします。
水稲種子
◇「株選び」をしっかり
前年のこぼれ籾による条間・株間の漏生苗や周囲に比べ生育の異なる株は、見つけ次第抜き取ります。特に、前年と作付品種が異なるほ場では、稲株が繁茂するまでに「ラチ苗取り」を念入りに行い、優良種子の生産に努めてください。
◇「ばか苗病」を徹底排除!
ばか苗病は、水稲の特定病害で種子伝染します。ほ場審査で1株でも発生していると不合格となり、種子として失格になります。
〈ばか苗病発病株の特徴〉
①が徒長する、②色が薄い(淡黄緑色)、③節間伸長期になると節から根が出る
このような発病株を見つけたら、必ず株ごと抜き取り、ほ場外に持ち出し処分します。
見つけやすい時期は、熟期の早晩や移植時期などにより差がありますが、早いもので6月中旬~7月上旬、遅いものでも7月10日過ぎです。
この時期を過ぎると節間伸長が始まり、病茎が枯れたり稲株が繁り、見分けにくくなります。常に見つけ次第、完全に排除してください。
◇ばか苗病原菌は100m以上も飛散!!
採種ほ周辺の一般ほ場で「ばか苗」を見つけた場合は、すぐに耕作者の了承を得て、発見者が自ら抜き取ることが大切です。
(一口メモ)
①病原菌が種子籾の中に入って越冬し、種子伝染していきますので、稲の特定病害とされ、種子として失格です。
②発病株に胞子ができ、これが飛散して、健全株の穂・花・頴(籾がら)に着き、保菌種子になります。
③胞子は、発病株が枯死する直前から発生し、枯死すると胞子はますます多発、1ヶ月以上発生し続けます。
④胞子の飛散には、露、雨等の水滴が必要で、高温・多湿が好条件となり、風が強いと広範囲に飛散します。
◇ほ場審査に向けて
①畦畔の草刈りをお願いします。
②適期にしっかり中干ししてください。
③畦畔ぎわのラチ生え、雑草をしっかり抜き取ってください。
④採種ほ場の立札をしっかり立ててください。また、記載内容に間違いがないように十分チェックしてください。
大豆種子
異品種混入を防いで、被害粒発生を防いで、種子生産に万全を!!
良い種子を生産するために、株選びと防除を確実に行い、異品種の混入や被害粒発生の防止に万全を期してください。
まずは、種子消毒、防除を徹底して、紫斑病やウイルス病、虫害をなくしましょう!
◇播種後の管理(当面する重点ポイント)
①適期播種と湿害対策に万全を!
大豆は畑作物であり、発芽から生育初期の湿害は生育不良につながります。
このため、水田転換畑では排水溝の設置や暗渠により、表面排水や地下排水に努めます。
「オオツル」「タマホマレ」「ことゆたか」および「ことゆたかA1号」の播種時期は6月中下旬が適期となります。
ほ場条件によって播種時期に湿害を受けやすい所は、「浅耕うね立て同時播種技術」の活用や播種時期を遅らせて苗立ちや初期生育の確保に努めます。
また、「フクユタカ」は、早播きすると蔓化や倒伏につながりますので、7月上中旬に播種します。
②補植はしません!
大豆の採取では、補植を避けます。
補植により成熟期が揃わず、「株選び」作業がしにくくなります。
③「株選び」は採種ほ管理の鉄則!
次の株は、見つけ次第抜き取ります。
〇子葉の褐変した株(紫斑病)
〇節間が短く、葉が縮み、葉脈に斑入りのある株(ウイルス病)
〇品種特性から見て、草丈の長短、草型の異なる株
抜き取り時期は、
・品種特性の見分けやすい開花始期(7月下旬:特に開花の早い株)
・開花期 (7月下旬~8月上旬:花色の異なる株)
・開花終期 (8月下旬:特に開花の遅い株)
・登熟期、成熟期 (熟期の早晩)
を中心に、葉色や葉形、莢の着き方、莢毛茸の色にも注意して、混種の要因を徹底的に排除します。
◇雑草管理も重要です
雑草の管理にも十分に配慮して取り組んで下さい。
種子GAPの取組を実践しましょう!!
GAP(農業生産工程管理)とは、
Good(良い) Agricultural(農業の) Practice(実践) の
頭文字を省略したものです。
Good(良い) Agricultural(農業の) Practice(実践) の
頭文字を省略したものです。
近年の種子更新率の向上に伴い、種子の需要量が増える一方、実需側からは、これまで以上に優良な種子の供給が求められています。
また、供給側では、生産者の高齢化、戸別の種子生産面積や品種数の増加、調整作業の細分化等から混種のリスクは年々増加しています。
採種生産者ならびにJA・種子センターにおいて、種子の生産工程における作業の確認と記録を実施し、自らの注意点を明らかにして対策を講じることにより、優良でより信頼される種子を生産することが重要です。
目指す種子GAP「生産工程管理にもとづく品質保証」
ほ場の来歴把握 |
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優良種子生産作業の実践 |
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定期的なほ場確認 |
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ほ場審査対応 |
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収穫後の乾燥調製でのリスク管理 |
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ねらいを定めた的確な分析 |
※工程をしっかり管理できる体制
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予防型の取り組み 信頼性の高い生産管理体制で全数保証を目指す 混種問題にも対応 |
※混種リスクが最も高いのは、コンバイン、乾燥機です。種子以外も含め、他品種と共用している場合は、清掃を徹底してください。
農林水産省ガイドライン GAPの定義 |
一般社団法人滋賀県種子センター「採種のしおり」より引用