本県で未発生のシタベニハゴロモが確認されました
令和5年12月26日 滋賀県病害虫防除所は、病害虫発生予察情報(特殊報第2号)を発表しました。
1.病害虫名 シタベニハゴロモ Lycorma delicatula (White)
2.対象作物 ブドウ
3.発生地域 高島市
4.発生経過
(1)高島市の露地栽培のブドウにおいて、令和5年10月に多数のハゴロモ類が寄生している様子が認められた。滋賀県病害虫防除所において同定した結果、本県では未発生のシタベニハゴロモであることが確認された。なお、県内では11月22日までに同ほ場以外で発生は確認されておらず、本種によるブドウの枯死や果実への被害も確認されていない。
(2)本種は中国本土、台湾、インドやベトナム原産の侵入害虫である。日本では、平成21年に石川県のニワウルシにおいて初めて発生が確認された。令和5年12月26日現在、滋賀県を除く9府県で庭木、街路樹および樹林地において発生が確認されている。
5.形態および生態
(1)成虫の体長は約2.5㎝で、翅を広げた長さは約5㎝である。前翅はクリーム色、後翅の半分は赤色で、いずれにも黒点が散在する。翅の色合いは、地域によって異なる場合がある。
(2)本種は年1世代のみ発生する。繁殖は9月以降に行われ、卵は寄主の根際から枝先まで、広い範囲に産み付けられる。産み付けられた卵は、ワックス状の物質で覆われていることが多い。卵のまま越冬し、翌年5月頃から幼虫が発生する。幼虫が成虫になるまでの期間は約70日で、7月頃から成虫が発生する。
(3)広食性であり、70種以上の植物を寄主とすることが知られている。主な寄主植物はブドウ、ナシ、ウメやリンゴなどの果樹、ニワウルシ、センダン、アカメガシワおよびサンショウ属などの庭木・街路樹である。
成虫は主に樹幹、幼虫は新梢部の枝や葉軸から樹液を吸汁し、植物の生育不良や枯死を引き起こ
す。加えて、大量の甘露(糖分を多く含んだ排泄物)を分泌することで「すす症状」を引き起こし、果実の汚れの原因となる。葉に多量のすすが発生すると、光合成が阻害されることがある。
6.防除対策
(1)令和5年12月26日現在、本種に対して登録のある農薬はない。
(2)ほ場内をよく見回り、成虫や幼虫は見つけ次第捕殺する。また、産み付けられた卵塊をそぎ
落とす。卵塊は、ほ場外に持ち出し土中に埋めるか、袋に密閉したうえで処分するなど、適切に処理する。
(3)施設栽培では、ハウスの開口部に防虫ネット等を設置し、侵入を防止する。
お問い合わせ先:滋賀県病害虫防除所
TEL:0748-46-4926・6160 FAX:0748-46-5559
Email:gc70@pref.shiga.lg.jp
https://www.pref.shiga.lg.jp/boujyo/
農薬取締法や滋賀県では、農薬を販売する者・使用する者が守らなければならない事項、守っていただきたい事項を次のように定めています。
このことを守り、農薬の適正な流通、安全・適正な使用に努めましょう。
【 農薬を扱うみなさまへ.pdf 】