令和6年病害虫発生予報第8号
令和6年8月6日 滋賀県病害虫防除所は、病害虫発生予報第8号を発表しました。
令和6年度病害虫発生予報第8号
令和6年(2024年)8月6日
滋賀県病害虫防除所
【予報概要】
大阪管区気象台の発表では、向こう1か月の気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並、日照時間は県北部で多く、県南部で平年並の見込み。
A.イネの病害虫
1.穂いもち(中生、晩生品種)
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)出穂期はやや早い見込み。
(2)早生品種での穂いもちの発生時期は平年並。
(3)葉いもちの発生量は平年並。
(4)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並、日照時間は県北部で多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)粉剤、液剤(水和剤・乳剤等)は穂ばらみ期~出穂期に散布する。穂いもちの発生が多い時
はさらに穂揃期~乳熟期にも追加散布する。
(2)粒剤は種類により施用時期が異なるため、ラベルをよく読んで適期に散布する。また、粒剤施用の場合は必ず湛水状態とし、畦畔等からの漏水防止に努めるとともに、散布後1週間は落水やかけ流しは行わない。
(3)薬剤耐性菌の発生を防止するため、同一グループの薬剤を連用しない。
2.紋枯病(中生、晩生品種)
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや少ない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並、日照時間は県北部で多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)前年の発生が多かったほ場では特に注意する。
(2)発生が多いほ場では、薬剤が株元によくかかるように散布する。
3.白葉枯病
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)前年の発生量はやや少ない。
(2)ほ場での発生時期は早い。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並、日照時間は県北部で多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)「みずかがみ」「キヌヒカリ」「ゆめおうみ」「ハナエチゼン」は発病しやすいので特に注意し、ほ場が浸冠水した場合は排水に努める。
4.トビイロウンカ
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)予察灯への飛来を認めていない。
(2)ほ場での発生を認めていない。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)防除情報第3号を参照のこと。
5.ツマグロヨコバイ
予報内容 発生量:やや多
予報の根拠
(1)予察灯への飛来量はやや多い。
(2)ほ場での発生量は平年並。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)防除の目安は、8月上旬の見取り調査で1株あたり20頭以上認めた場合、またはすくい取り調査で捕虫網10回振り当たり100頭以上捕獲された場合とする。
6.斑点米カメムシ類
予報内容 発生量:多
予報の根拠
(1)畦畔での発生量は多い。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)注意報第5号を参照のこと。
7.コブノメイガ
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)防除情報第3号を参照のこと。
B.ダイズの病害虫
1.べと病
予報内容 発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生を認めていない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並、日照時間は県北部で多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生初期に薬剤を散布する。
2.吸実性カメムシ類
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生を認めていない。
(2)水稲や露地野菜ほ場で、加害能力の高いミナミアオカメムシの発生を認めた。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)若莢期~子実肥大期に薬剤を散布する。
3.ハスモンヨトウ
予報内容 発生時期:やや遅
発生量:やや多
予報の根拠
(1)フェロモントラップでの誘殺時期はやや遅い。
(2)フェロモントラップでの誘殺数はやや多い。
(3)ほ場での発生を認めていない。
(4)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)早期発見に努め、若齢幼虫が葉裏に群せいしているうちに捕殺する。
(2)幼虫が中齢以降になると薬剤の効果が著しく低下するので、若齢期に薬剤を散布する。
4.フタスジヒメハムシ
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや少ない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)子実肥大初期に薬剤を散布する。
C.野菜(露地)の病害虫
1.野菜全般:アブラムシ類
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)黄色水盤での誘殺数は平年並。
(2)ほ場での発生量は平年並。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生初期から薬剤を散布する。
(2)薬剤抵抗性を獲得しやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
2.野菜全般:ハダニ類
予報内容 発生量:やや多
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや多い。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生初期から薬剤を散布する。
(2)薬剤抵抗性を獲得しやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
3.野菜全般:ハスモンヨトウ
予報内容 発生時期:やや遅
発生量:やや多
予報の根拠
(1)フェロモントラップでの誘殺時期はやや遅い。
(2)フェロモントラップでの誘殺数はやや多い。
(3)ほ場での発生を認めていない。
(4)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)セル成型苗やペーパーポット苗に、登録のある薬剤を灌注する。
(2)早期発見に努め、若齢幼虫が群せいしているうちに捕殺する。
(3)幼虫が中齢以降になると薬剤の効果が著しく低下するので、若齢期に薬剤を散布する。
4.野菜全般:タバコガ類
予報内容 発生量:多
予報の根拠
(1)フェロモントラップでの誘殺数は多い。
(2)ほ場での発生量は平年並。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)注意報第4号を参照のこと。
5.アブラナ科野菜:コナガ
予報内容 発生量:やや少
予報の根拠
(1)予察灯への飛来量は少ない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生初期に薬剤を散布する。
(2)薬剤抵抗性を獲得しやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
6.アブラナ科野菜:ヨトウガ
予報内容 発生量:やや少
予報の根拠
(1)フェロモントラップでの誘殺数は少ない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)早期発見に努め、若齢幼虫が群せいしているうちに捕殺する。
(2)若齢期に薬剤を散布する。
7.アブラナ科野菜:ハイマダラノメイガ
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)指標植物であるクレオメでの発生を認めていない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)セル成型苗やペーパーポット苗に、登録のある薬剤を灌注する。
(2)発生初期に薬剤を散布する。
D.キクの病害虫
1.アブラムシ類
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)黄色水盤での誘殺数は平年並。
(2)ほ場での発生を認めていない。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生初期から薬剤を散布する。
(2)薬剤抵抗性を獲得しやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
E.果樹の病害虫
1.果樹全般:カメムシ類
予報内容 発生量:多
予報の根拠
(1)フェロモントラップでの誘殺数はやや多く、予察灯での誘殺数は多い。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少ない、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)注意報第3号を参照のこと。
2.ナシ:黒星病
予報内容 発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや少ない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少ない、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発病葉や発病果は取り除き、園外へ持ち出し処分する。
(2)耐性菌を生じやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
F.チャの病害虫
1.炭疽病
予報内容 発生量:やや多
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや多い。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)二番茶残葉に発生した病葉が伝染源となり三番茶芽に感染する。
(2)感染は新芽の生育期に限られるため、伝染源が多い茶園では三番茶芽の萌芽~1葉開葉期と2~3葉開葉期に薬剤を散布する。
2.もち病
予報内容 発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)山間地の茶園や平坦地でも木陰や建物の裏側等風通しや日当たりの悪い茶園でよく発生する。
(2)発生が見られる茶園では、三番茶芽の開葉初期に薬剤を散布する。
3.新梢枯死症
予報内容 発生量:やや多
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)感染源となる輪斑病葉の発生量はやや多い。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)原因となる病原菌は輪斑病菌であり、輪斑病の多発茶園で発生しやすいので、輪斑病の発生が認められる茶園では、三番茶芽の萌芽期および2~3葉開葉期に薬剤を散布する。
4.カンザワハダニ
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生園では、葉裏にもよくかかるよう薬剤を散布する。
5.チャノコカクモンハマキ(第3世代幼虫)
予報内容 発生時期:早
発生量:平年並
予報の根拠
(1)第2世代成虫の初飛来日は早い。
(2)第2世代成虫のフェロモントラップでの誘殺数は平年並。
(3)ほ場での発生量は平年並。
(4)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生量が多い茶園では、幼虫が茶葉をとじる前の若齢期に薬剤を散布する。
6.チャノミドリヒメヨコバイ
予報内容 発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや少ない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生量が多い茶園では、三番茶芽の萌芽期~開葉期に薬剤を散布する。
(2)降雨が少なく乾燥状態が続く条件下で、急激に増加する場合があるので注意する。
7.チャノキイロアザミウマ
予報内容 発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや少ない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生量が多い茶園では、三番茶芽の萌芽期~開葉期に薬剤を散布する。
(2)降雨が少なく乾燥状態が続く条件下で、急激に増加する場合があるので注意する。
8.クワシロカイガラムシ(年2回発生地域・第2世代幼虫)
予報内容 発生時期:早
発生量:平年並
予報の根拠
(1)第1世代成虫の発生時期は早い。
(2)第2世代幼虫ふ化最盛期の有効積算温度(688日度、起算日第1世代ふ化最盛期、発育零点 10.8℃、高温補正30℃)による予測日は早い。
(3)第1世代成虫の寄生株率(雄繭)は平年並。
(4)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)防除は、ふ化~定着直後の幼虫を対象とし、ふ化最盛期(50%ふ化卵塊が過半数に達した時期)の約2~3日後が防除適期となる。
9.チャトゲコナジラミ(第2世代幼虫)
予報内容 発生時期:やや早
発生量:やや少
予報の根拠
(1)第1世代成虫の発生ピークは平年並。
(2)第1世代成虫の黄色粘着板での誘殺数は少ない。
(3)調査茶園における幼虫の発生量はやや少ない。
(4)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並又は少なく、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)第1世代成虫の発生ピークからおよそ15日後に、成虫の発生がほとんど見られなくなった時期が防除適期である。ただし、茶園により差があるので、若齢幼虫の寄生状況を事前に確認する。
(2)すそ部や葉層内の葉裏によくかかるように薬剤を散布する。
防除対策(耕種的防除や薬剤防除など)については、滋賀県農作物病害虫雑草防除基準を参照してください。
病害虫防除に関する情報
滋賀県病害虫防除所
病害虫の発生予察などの関連情報
https://www.pref.shiga.lg.jp/boujyo/
滋賀県農作物病害虫雑草防除基準
滋賀県における病害虫や雑草の適切かつ安全な防除および危被害防止についての基準
https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/shigotosangyou/nougyou/ry
utsuu/303181.html
お問い合わせ先:滋賀県病害虫防除所
〒521-1301 滋賀県近江八幡市安土町大中516
TEL:0748-46-6160・4926
FAX:0748-46-5559
Email:gc70@pref.shiga.lg.jp
https://www.pref.shiga.lg.jp/boujyo/
農薬取締法や滋賀県では、農薬を販売する者・使用する者が守らなければならない事項、守っていただきたい事項を次のように定めています。
このことを守り、農薬の適正な流通、安全・適正な使用に努めましょう。
【 農薬を扱うみなさまへ.pdf 】