令和6年病害虫発生予報第6号
令和6年7月2日 滋賀県病害虫防除所は、病害虫発生予報第6号を発表しました。
【予報概要】
大阪管区気象台の発表では、向こう1か月の気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県
南部で平年並、日照時間は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
A.イネの病害虫
1.葉いもち
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生時期は平年並。
(2)ほ場での発生量はやや少ない。
(3)6月下旬にBLASTAMによる感染好適条件が県内各地で出現している。
(4)育苗箱施薬による防除が普及している。
(5)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並、日照時間は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)不必要な余剰苗は直ちに除去する。
(2)移植栽培では、いもち病に有効な長期持続型の薬剤を育苗箱に施用、または移植時に側条施用したほ場では、葉いもち防除の必要性は低い。
(3)直は栽培では、いもち病に有効な長期持続型の薬剤を、は種同時施薬機を用いて土中施用したほ場では、葉いもち防除の必要性は低い。
(4)多肥田や晩植田、「コシヒカリ」「キヌヒカリ」「秋の詩」「滋賀羽二重糯」では特に注意する。
(5)ほ場をよく見回り、発生を認めたら薬剤を散布する。
(6)耐性菌を生じやすいので、穂いもちの防除も考慮して同一グループ薬剤の連用を避ける。
2.穂いもち(極早生・早生品種)
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)葉いもちの発生時期は平年並。
(2)水稲の生育時期は平年並~やや早い。
(3)現在の葉いもちの発生量はやや少ない。
(4)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並、日照時間は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)穂いもちを対象に粒剤を施用した場合、穂ばらみ期以降の防除の必要性は低い。
(2)粉剤や液剤で防除する場合は、防除適期を逃すと著しく効果が低下するので、必ず穂ばらみ期~出穂期に防除する。
(3)耐性菌を生じやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
3.紋枯病
予報内容 発生時期:平年並
発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生時期は平年並。
(2)ほ場での発生量は少ない。
(3)前年の発生量はやや少ない。
(4)水稲の茎数はやや少ない。
(5)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並、日照時間は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)前年発生の多かったほ場では特に注意する。
(2)防除の目安は、極早生・早生品種では発病を認めた場合、中生・晩生品種では出穂20日前の発病株率が15~20%以上。
(3)病勢進展初期(幼穂形成期~穂ばらみ期)に株元までよくかかるように薬剤を散布する。
(4)粒剤施用の場合は必ず湛水状態とし、畦畔等からの漏水防止に努めるとともに、散布後1週間は落水やかけ流しはしない。
4.白葉枯病
予報内容 発生時期:平年並
発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生を認めていない。
(2)前年の発生量はやや少ない。
(3)育苗箱施薬による防除が普及している。
(4)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並、日照時間は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)「キヌヒカリ」「ゆめおうみ」「玉栄」は発病しやすいので特に注意する。
(2)田植時に、白葉枯病に有効な長期持続型箱粒剤を施用したほ場では、防除の必要はない。
5.ニカメイガ第2世代
予報内容 発生時期:早
発生量:平年並
予報の根拠
(1)第1世代幼虫による被害の発生時期は平年並。
(2)第1世代成虫発ガ最盛期は早いと推定される。
(3)ほ場での発生量は平年並。
(4)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)第1世代成虫発ガ最盛期(彦根アメダス付近で7月17日頃と推定:平年7月26日頃)から7日後までに薬剤を散布する。ただし、粒剤は発ガ最盛期に散布する。
(2)中生・晩生品種では、被害が出やすいので注意する。
6.トビイロウンカ
発生状況
(1)本県では、現在までに予察灯での誘殺およびほ場での発生を認めていない。
防除上注意すべき事項
(1)本県では、7月10日頃までに飛来が認められた場合は、早生品種で多発する危険性が高い。8月上旬~中旬に本田防除を行う。
7.セジロウンカ
予報内容 発生時期:やや早
発生量:平年並
予報の根拠
(1)予察灯への飛来時期はやや早い。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)多飛来により、出穂期までに著しく密度が高まった場合は、薬剤防除する。
8.ヒメトビウンカ
予報内容 発生時期:やや早
発生量:平年並
予報の根拠
(1)予察灯への飛来時期はやや早い。
(2)前年の発生量はやや多く、越冬量はやや少ない。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)出穂期までに著しく密度が高まった場合は、薬剤防除する。
9.ツマグロヨコバイ
予報内容 発生時期:やや遅
発生量:平年並
予報の根拠
(1)予察灯への飛来時期は遅い。
(2)前年の発生量はやや少なく、越冬量はやや少なかった。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)穂ばらみ期~穂揃期に株当り20頭以上認めた場合は、薬剤防除する。
10.斑点米カメムシ類
予報内容 発生時期:平年並
発生量:やや多
予報の根拠
(1)水稲の生育時期は平年並~やや早い。
(2)予察灯でのアカスジカスミカメの誘殺数はやや多い。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)イネの出穂2~3週間前と出穂期の畦畔2回草刈りは効率的である。なお、畦畔雑草地などの除草を7月上旬に広域的に行った場合、その後も畦畔雑草地のイネ科雑草が出穂しな
いように適正に管理する。
(2)水田内にヒエなどのイネ科雑草が生えている場合は、速やかに除去する。
(3)穂揃期に斑点米カメムシ類が確認できるほ場では、糊熟期頃(出穂16日後を中心に出穂10~20日後)に薬剤防除する。
(4)ほ場周辺の畦畔や雑草地にアカスジカスミカメの発生が多い場合は、乳熟期頃(出穂7~10日後)にも防除する。
(5)粒剤を施用する場合、田面を露出させない程度に湛水状態とする。散布時期は乳熟期頃(出穂7~10日後)とするが、一部薬剤は散布時期が異なるので注意する。
(6)イネカメムシの発生が多いほ場では、出穂期に防除する。
11.イチモンジセセリ(イネツトムシ)
予報内容 発生時期:平年並
発生量:平年並
予報の根拠
(1)第1世代幼虫の発生時期は平年並。
(2)ほ場での発生量は平年並。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)晩植田では特に注意する。
(2)発生の多いほ場では、幼虫発生初期(7月下旬~8月初旬)に薬剤を散布する。
12.フタオビコヤガ(イネアオムシ)
予報内容 発生時期:やや遅
発生量:少
予報の根拠
(1)ほ場での発生を認めていない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)山沿いのほ場や葉色の濃いほ場では特に注意する。
(2)発生の多いほ場では、幼虫加害初期に薬剤を散布する。
B.野菜(露地)の病害虫
1.野菜全般:うどんこ病
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並、日照時間は県北部で平年並、県南部で平年並または多い見込み。
防除上注意すべき事項
(1)耐性菌を生じやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
2.野菜全般:アブラムシ類
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)黄色水盤での誘殺数は平年並。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生初期から薬剤を散布する。
(2)薬剤抵抗性を獲得しやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
3.野菜全般:ハダニ類
予報内容 発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや少ない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生初期から薬剤を散布する。
(2)薬剤抵抗性を獲得しやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
4.野菜全般:アザミウマ類
予報内容 発生量:やや多
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや多い。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生初期から薬剤を散布する。
(2)ほ場周辺の雑草を除去する。
5.野菜全般:タバコガ類
予報内容 発生量:多
予報の根拠
(1)フェロモントラップでの誘殺数は、タバコガ、オオタバコガともに多い。
(2)ほ場での発生量はやや多い。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)注意報第4号を参照のこと。
C.キクの害虫
1.アブラムシ類
予報内容 発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生はやや少ない。
(2)黄色水盤での誘殺数は平年並。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生初期から薬剤を散布する。
(2)薬剤抵抗性を獲得しやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
D.果樹の病害虫
1.果樹全般:カメムシ類
予報内容 発生量:多
予報の根拠
(1)チャバネアオカメムシの越冬成虫数は多い。
(2)フェロモントラップでの誘殺数は平年並、予察灯での誘殺数は多い。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生予察注意報第3号を参照のこと。
2.ナシ:黒星病
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発病葉や発病果は取り除き、園外へ持ち出し処分する。
(2)耐性菌を生じやすいので、同一グループ薬剤の連用を避ける。
3.ナシ:ナシヒメシンクイ
予報内容 発生量:やや多
予報の根拠
(1)フェロモントラップでの誘殺数はやや多い。
(2)ほ場での被害果を認めていない。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)被害果は処分する。
(2)成虫が7月から途切れなく発生するため、7月以降が重点防除期にあたり、7月上旬7月下旬、8月下旬に防除する。
(3)収穫期の遅い品種ほど被害が大きくなるので注意する。
4.ブドウ:べと病
予報内容 発生時期:やや早
発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや少ない。
(2)前年の発生量は平年並。
(3)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)「巨峰」「マスカット・べーリーA」「アーリー・スチューベン」は発病しやすい。
(2)発病葉および発病果は処分する。
(3)予防散布に努める。
E.チャの病害虫
1.輪斑病
予報内容 発生量:やや多
予報の根拠
(1)前年の秋芽における新梢枯死症の発生量は平年並。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)茶葉の傷口から感染するため、前年多発園では摘採・夏整せん枝直後に防除する。
(2)高温時に摘採・整せん枝した場合は、発病しやすいので注意する。
2.カンザワハダニ
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)発生園では、二番茶摘採終了後に薬剤を散布する。
3.チャノミドリヒメヨコバイ
予報内容 発生量:やや少
予報の根拠
(1)ほ場での発生量はやや少ない。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)三番茶芽の萌芽~開葉期に薬剤を散布する。
(2)降雨が少なく乾燥状態が続く場合、急激に増加することがあるので注意する。
4.チャノキイロアザミウマ
予報内容 発生量:平年並
予報の根拠
(1)ほ場での発生量は平年並。
(2)気象予報では気温は高く、降水量は県北部で平年並または多く、県南部で平年並の見込み。
防除上注意すべき事項
(1)三番茶芽の萌芽~開葉期に薬剤を散布する。
(2)降雨が少なく乾燥状態が続く場合、急激に増加することがあるので注意する。
防除対策(耕種的防除や薬剤防除など)については、滋賀県農作物病害虫雑草防除基準を参照してください。
お問い合わせ先:滋賀県病害虫防除所
〒521-1301 滋賀県近江八幡市安土町大中516
TEL:0748-46-6160・4926
FAX:0748-46-5559
Email:gc70@pref.shiga.lg.jp
https://www.pref.shiga.lg.jp/boujyo/
農薬取締法や滋賀県では、農薬を販売する者・使用する者が守らなければならない事項、守っていただきたい事項を次のように定めています。
このことを守り、農薬の適正な流通、安全・適正な使用に努めましょう。
【 農薬を扱うみなさまへ.pdf 】